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幸運を運ぶ星・後編

前回の続き。手乗りみゆきさん飼いたい



前編
朝、小鳥のさえずりと共に俺は目が覚めた。
昨晩は寝るのが遅かった割にはそれほど不快な目覚めではない。
ベッドから体を起こし、机の上を覗き見てみる。そこにはフェギュア程の大きさの女の子が(彼女にしては)大きなタオルに包まって寝息を立てている。

「夢じゃなかったかぁ…」

彼女が入っていたと思われる箱を持ち、呟いた。
昨晩、あのまま机の上の本を読んでいたみゆきはやがて本の上で眠ってしまったのである。
そのまま放って置くのは流石に気が引けたため、敷布団と掛け布団にと2つのタオルを用意してやった。
そしてその後、自分もまたベッドに眠りについたのだ。

しばしの間、みゆきの寝顔を眺める。やっぱり可愛い。
その柔らかそうな頬に指を伸ばしてみようかと思ったその時、みゆきが突然反応を示した。人の寝起きそのものの反応。
欠伸をした後、大きく体を伸ばしてこちらを見上げてきた。決して言葉を発さないが、眩しいばかりの笑顔を向けてくれている。
みゆきは少し目を擦った後、立ち上がってお辞儀をした。

「…おはよう」
「♪」
「さて…どうしたものか」

愛おしいのはいいのだが、自分は今日も仕事があるため、今からこの家を出なければならない。
こんな小さな子を長いこと家に置いておいていいものかと思う。もし自分がこのみゆきと同じくらいの大きさになってしまったら不便どころではないな、などと考えてしまってどうしたらいいかわからない。
空腹になっても料理も出来ないだろうし、あらかじめ食事を用意しておいたら痛んでしまう。加えて冷蔵庫なんて開けられるとも思えないので、そこに保管してもしょうがないだろう。

(いっそ連れて行ってしまうか…。…うん?)

何気なく手に取ったプロフィール表…『取説』とでも言うのだろうか。
小さく注意書きで色々と書いてある。【食事は必要ありません】……いやに便利である。

(なら置いていっても問題ないか。…あ、また小さく何か…)

【ただし食事を与えると喜びます】

「ふむ…」

試しに台所から食パンを細かくちぎってみゆきに与えてみた。
少し大変そうであったが、みゆきはパンをもぐもぐと食べていた。パンくずが顔いっぱいに付いてしまっていたので指で顔を撫でてやる。

「…俺、仕事に行かないといけないから。留守番…できるよな?」
「?……♪」

みゆきはこちらを見上げてこくりと頷いた。みゆきは言葉を発さないが、こちらの言っていることは分かるようだ。

多少の不安はあったものの、みゆきの頭を軽く撫でてから俺は仕事へと赴いた。
一応、ビスケット等を近くに置き、みゆきが好みそうな本も3、4冊ほど新しく置いておき、最近は夕方暗くなるのも早いため、TVと部屋の電気もつけっぱなしにしておくことにした。
部屋を出ようとしたとき、みゆきが手を振ってくれていた。思わず手を振り替えし、俺は家を出た。



仕事中は仕事中と割り切り、考えないようにはしていたが、やはり時々みゆきの事が思い起こされた。
食事は必要ないと言ってもあそこに丸一日置かれて平気だろうか。電話をかけて確認しようにもあのなりでは電話に出られないだろうし、そもそも彼女は喋ってくれない。
途中から自分でも分かるくらいに時計を気にするようになっていた。そしてその度に気落ちし、結局のところ最後のほうはまるで集中できなかった。
やっと仕事が終わったころには気付けばかなりの早足で自宅に向かっている自分が居た。

やがて窓から電気が漏れている自分の部屋が見えてきた。ポケットを弄って部屋の鍵を取る。
扉の前まで来たが、逸る思いが災いしてなかなか鍵穴にさし込められなかったが、なんとか家に入り、そして明かりとTVの音が聞こえてくる自分の部屋に入った。
真っ先に机の上を確認する。そこには本を読んでいる最中だったらしいみゆきが、ちょうどこちらに振り替えってきた。
多少驚いた風であったが、こちらの姿を認めるとその表情を明るくし、机の端まで走り寄ってきた。

「お、おい!危ないぞ」

鞄をベッドに放り投げて俺も机に駆け寄った。みゆきが机から落ちないように手を差し伸べてやると、みゆきは小さな両の手でしっかりと俺の中指をしっかりと握ってこちらを見上げてくる。
まるで何か言葉を待っているように見えた。

「あ…ただいま」
「…♪」

家に帰ったときの挨拶。そういえば実家に居たころは毎日言っていたけど、一人暮らしをしてからは滅多に言わなくなった。
みゆきは笑顔で俺の帰りを迎え入れてくれた。懐かしさと不思議さを感じた。


みゆきや、みゆきを授けてくれたあの親父が何者かは分からないが、そんなことは気にならず特に気にならず、その後の生活はとても充実なものだった。
どんなに嫌で辛い事があっても、その笑顔が帰りを待ってくれていると分かれば、どんな事にだって耐えられた。
体は小さくとも、みゆきは常に心の支えであってくれたし、俺も誠心誠意みゆきのことを大事にした。恥ずかしい話、愛していたといってもいいかもしれない。
お人形遊びで使うようなおもちゃの食器などを使って料理をしたり、目玉親父のようにお椀でお風呂に入れさせたり(もちろんその時は室外待機)、あとみゆきは本を読むのがとても早いため、かなり早いペースで新しい本を買ってあげたりもした。休日には胸ポケットに入れて散歩に行くこともあれば、一緒になって本を読むこともあった。
とにかく色々なことをした。

が、そんなある日、それが単なる自己満足であることを思い知らされた。

「ただいまー」

いつも通りに仕事帰りで帰って来た時、彼女の笑顔は見ることは出来なかった。
というのも、本を読んでいる途中で眠ってしまったようで、本の上で寝息を立てていたのだ。

「寝てるのか…」

今までも寝顔で帰宅を迎え入れられたことはあったし、それだけならそれでまた癒されるのだが、俺はその時、彼女の頬に涙が流れていた跡を見たのである。そしてみゆきの手には彼女サイズの写真が握られている。それにはみゆき含め、かなりの人数が見受けられた。集合写真か。
ちょっと考えれば分かるものだ。こんな家にずっと一人、ずっと寂しかったのだろう。自分が彼女を心の拠り所にして、縋り過ぎていた。みゆきの寂しさに気づくことができなかったのは己の不甲斐なさ以外に無い。

「…ごめんよ」

もうほとんど乾いたみゆきの頬を撫でる。
しかしどうしたらいい?考えても考えても答えは出ない。生きていくためには働かないといけないし、職場に連れて行くわけにもいけない。
ふと、ある人物の顔が脳裏に浮かんだ。…あの親父である。

(あいつ、他にもたくさんの箱を売ってた。他の箱もみゆきと同じような子が入っているのか…?)

もしそうなら、みゆきにも友達が出来るかもしれない。が、そうは考えても問題がある。あれ以降あの親父に会っていない。
机の引き出しを開け、大事に保管してある『みゆきの箱』を手に取る。

(幸運の星、Lucky☆Star…らき☆すた、No.4高良みゆき。か…)

もう一度でいい、あの親父に会えればいいのだが。
あの時あった場所、今も毎日通っているのだが、会えていない。一体どこに居るのだろうか……。
今から出かけていくわけにも行かず、その日はみゆきもそのまま起きる事は無かったので、自分もすぐに眠りに付いた。

次の日、みゆきは特に変わりなく、自分も決して態度を変えることなくみゆきに接していた。
ただちょっと、出掛けの際にいつもより長くみゆきの頭をなでた。



「さて、どーしたもんかなー…」

歩きながら嘆く。実際に声に出したら少しはいい案が浮かべばいいなと思っていたが、やはり思い浮かばない。
卯木の休日にみゆきと一緒に遠出してみるか。しかし次の休みまではまだ長いし、自由に使えるのは一日だけである。

「う~~~ん……」
「何唸ってんだ?」
「いやちょっと…」

もう殆ど答えた後でその『声』に気付いた。それはもう久々に、そして聞きたかった声でもあった。
風呂敷を広げ、殆どガラクタな品物を並べているあの男。

「オッサン…!」
「久しぶり。どうかしたか?」
「あ、いや……」

親父の語りに耳を傾けず、無意識にあの箱を探している。
会ったら聞きたいことがいろいろあったはずだが、今自分はそんな事に気が回らないでいた。
ほんと何に使うのか分からないようなものばかり並んでいるが、ようやく多くの箱を見つけた。みゆきが入っていたのと同じもの。
その中から一つ掴み、親父に突き出す。

「これ!くれ!」
「5000円」
「応!」

ただ短い会話。財布から5000円札を親父に叩きつけ、俺はその箱を手にした。
すぐに家に帰りたい気分だったが、結局この時はそのまま仕事にと赴いたため、みゆきとこの子の対面は夜まで持ち越しとなる。
気が逸っていた為、一体誰が入っているのかは分からなかった。こっそり確認しようにも他人の目を気にしてしまって結局出来なかった。

ようやく箱の中身を知ることができたのは、暗くなって人気が無くなった帰宅中。鞄の奥底に潜めていた箱を手探りで掴み取り出す。
幸運の星、らき☆すた。みゆきが入っていたのと同じもの。唯一違うのが中身の表記。

「…っと、『No.1泉こなた』。No.1か。いわゆる主人公か?…いや、カ○ーユ・ビダンやシ○・アスカの例もあるし」

どうでもいいことを考えているうち、おかしな違和感を感じた。
非常に軽い。みゆきの時はもうちょっとズッシリしていたはずである。まさかと思ってそっと箱を開けてみると…。

「…い、いねえ!?」

箱の中身はプロフィール表が入っているだけ。みゆきのような女の子は見えない。
いんちきをつかまされたのかと思いつつ、往生際悪く今度は感の中を弄る。もしかしたら箱から転げ落ちてしまったのかもしれない。
ある程度弄っていると、指差の先に激しい痛みが走る。まるで何かに噛み付かれたかのような激痛。同時に掌では何か柔らかいものを包み込んでいるようだ。

「これ、か…?」

恐る恐る鞄から手を抜き出してみる。みゆきと同じセーラー服を身にまとった女の子だ。
掌に座った後姿でロングな髪の毛の色は青。鞄の中にいたからかぼさぼさに乱れている。
頭のてっぺんにはアニメキャラによく見られるアホ毛がちょこんと生えている。そして痛い。相変らず人差し指に噛み付いているが、すぐに口を離し、こちらに振り向いた。
女の子は苦笑いしつつ後頭部をぽりぽりかいている。みゆきとは全く違うタイプの女の子のようだ。
鞄を肘にかけ、もう片方の手に箱を取って改めて確認する。

「『泉こなた』ね。もしかしてみゆきみたいに勝手に出たのか…」

「いやあ申し訳ない」みたいな事を言いそうな顔でこちらを見てきている。
俺は軽く溜息をついた後、掌にこなたを乗せたまま帰路に付いた。
狭い手の上なのにみゆきと違って活発的に動く。何度か落ちそうになりながらもようやく無事に帰ってきた。
家に入るとこなたはより一層きょろきょろとしだす。

「おい、ちょっと落ち着けって。…っと、ただいまー」

みゆきが居る仕事部屋へと入る。みゆきは今日もいつも通り本を呼んでいていた。こちらに向き直って…と、ここまでは普段と一緒だったが、そう俺の掌のこなたを見てとても驚いた表情になったのが分かった。
手の上のこなたもみゆきの姿を認めたらしく身を乗り出して彼女に手を振っている。運のいい事にこの2人は元から知り合いというか友人関係にあったらしい。

「ビンゴか。…おい危ないって!」

俺は机に駆け寄って暴れるこなたをみゆきのすぐ隣に降ろしてやろうとすると寸前のところで飛び降り、みゆきの体に抱きついた。
悦顔でみゆきとほっぺたを擦り合わせるこなたと途惑いながらも受け入れているみゆき。正直うらやましい。
性格的な印象は正反対だったためウマが合うかどうか不安だったが、予想以上に仲は良いようで安心である。
みゆきもただ途惑っているだけではなく、やっぱりどこか嬉しそうだ。

高良みゆきと泉こなた、自分一人だけだったこの部屋も今日を境にかなり賑やかになった。
こなたは絵に描いたようなオタクで漫画やゲームが好き。TVを見ているとアニメを見せろとせがんだりするし、小さな体で器用にマウスを使ってPCで遊んでたりする。
また基本的にこなたは構ってもらいたがることが多い為、読書をするみゆきを妨害して無理矢理遊び相手をしてもらっていることが多い。みゆき自身は満更でもなさそうなので別にそれを止めようとも思わないが。
それに合わせてみゆきの生活も弱冠変わり始めた。本の消費量は目に見えて少なくなってきたし、こなたと一緒に漫画を読んでいることも多くなってきた。
それよりも一番は、やはり彼女があれ以来涙を見せなくなったことが何より嬉しい。
2人くらいなら食事も別にかさばらないし、散歩に連れて行くのも楽なので、生活はそれなりに充実していた。



…が、ある日仕事から家に帰って来た時、それはまた起こった。

「ただいまっと…ん?」

部屋に入って目に映ったのはいつも通りのあの2人。これまでなら2人とも笑顔で迎えてくれていたのだが、この日はどこか余所余所しい。
みゆきは申し訳なさそうだけど期待も抱いてるような、こなたは何かを企んでいるような表情で見つめてくる。

「な、なんだよ…うん?」

こなたが突如指を差したその方向、そこにはプリンターが置いてあるが、一枚見に覚えの無いものがプリントアウトされている。
みゆき、こなたと似たような絵柄で描かれたキャラクターがそこに2人いる。これはどうやららき☆すたのキャラクターらしい。

「っと、No.2柊つかさ、No.3柊かがみ…か。苗字が同じ…姉妹か?」

ふとみゆきとこなたを見てみるとそこには目を輝かせた2人がじっと見つめてきてきている。
非常に純粋なその瞳、そのきらめきはこちらの良心をちくちくと攻め立ててくる。
しばらくにらめっこが続いていたが、目線を逸らす事すら躊躇うほどの熱視線に流石に根負けしてしまった。

「わ、分かったよ…今度あのオッサンを見かけたら連れてきてやるから…」

そう一言告げるやると、2人は両手を挙げて喜び、抱き合っていた。
みゆきとこなた。そしてこのつかさとかがみを加えた4人はらき☆すた内では特に仲がいいようだ。
押し切られてしまったが、それくらい仲がいいのであれば仕方ない。いつも元気をもらっていたわけだし、ここは皆そろえてやるのが恩返しとなるだろう。

「そうだな、後2人くらいなら何とかなるさ、2人ならな!」

これ以上賑やかになるのか、と、期待半分、不安半分。いやどちらかといえばまだ期待のほうが大きいか。

なんだかんだで結局最後には全員揃えたしまったりしそうだがそれもいいかもしれないと、この時俺は思っていた。
何気なく、半分冗談のつもりでいたのだが、後にこれが原因で我が家がとんでもない状況に陥ったりしてしまう事になるのだが、それはまた別のお話…。



あとがき
最初に、ここまで読んでくれてありがとうございます。今までと違う雰囲気のお話ですが、楽しんでもらえたら幸いです。で、今回のオチですが、次回に続きそうな雰囲気があるし、結局謎の解明もしてないのですが、一応これで完結ということにさせてください。というのもあのオッサンの正体とかまったく考えてなかったので…。いつか良い案が浮かんだら続きを書きたいと思います。それでは今後も『ガンタンク妄想記』をよろしくお願いします。
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非公開コメント

No title

ガンタンクさんの早い仕事に感動しましたw
いや~最後は区切りとして、丁度良いと思いますよ♪
萌えドリルのストーリーモードのラストみたいなラストですね(笑)

返信

ペンギンTAKAさんコメントありがとうございます。ペンの進みにムラがあるのは仕様でございますw
萌えドリルのSSはまたいつか書きたいですね、ネタには事欠かないですし
プロフィール

こなゆきガンタンク

Author:こなゆきガンタンク
らき☆すた大好き。高良みゆきは俺の嫁だが、こなた×みゆきの百合も好き。広橋涼のこなたをはじめ、らき☆すた初代声優を応援している。らき☆すた以外ではガンダム。種厨のシン厨、でもTVシリーズは大体網羅してるよ! ニコニコで動画を作ったりSSを書いたりもする。
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